私は楽曲派

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私の環境での話だけど、同世代のジャニーズファン(世間的にはジャニオタ)を名乗る人にほとんど会ったことがない。もちろん全くいなかったわけじゃない。下の子の保育園に嵐の相葉君のファンの保育士さんがいて、立ち話をしたことがある。数年前に職場の同じ建物に入っている会社の経理の人が櫻井君のファンで、職場の机にいろいろ飾っているという話を聞いたことがある。昔の職場の同期入社の女性が、退職後翼くんを追いかけて各所遠征していたと聞いた。熱量を感じたのはその3人くらいで、厳密には最後の人しか同世代じゃない。つまり、たった1人だ。あと、地元にいる実妹は関ジャニ∞と大倉君のファンでたまにファンクラブにも入っていたはずだが、割とあっさりしてるので除外。話は通じるんだけど。

以前の私がそうだったように、多くの人はいろんなジャンルの一つとして捉えている程度で、若いジャニーズは区別がつかないということをどことなく誇らしげに語る。時事ネタ、国際問題、歴史、漢字などとは違い、無知である方が知的な印象を与えるジャンルなんだろう。多分。私の家族(夫)などは心底毛嫌いしていて、私がNEWSにはまった時のショックは凄かったらしい。「そんな人だと思わなかった」と嫌悪感をはっきり伝えられ、最初のコンサートに強行した後は大げさでなく2週間不機嫌だった。理不尽すぎて、何もそこまでと思うし、差別的なものを感じる。

さて本題。

以前仕事で通っていた場所で、私はさまざまな職種の40〜50代女性が集っているグループに混ぜてもらい、昼食を取っていた。そこで私はいつしか「ジャニーズに詳しい人」という立ち位置になった。こんな、異様に声とテンションの低いメガネをかけた中年女性がジャニーズのコンサートに行っているのは意外に思われるようなので、私も彼女たちが納得しやすいように「娘たちと行っている」と説明した。「着席ブロックとかあって、家族で行く人多いですよ」などというと「チケットを取るのは大変ですか」などの定番の質問を受ける。本当に興味があるのか、話をつなぐためだけなのかわからない。でもせっかく聞かれたので、私はまるでよく知っている人のように解説をする。自分はジャニオタではなくてあくまでNEWSのファンでしかないとエクスキューズを挟みつつ、ジャニーズファン界隈の各種ルールや特別な用語、濃いファンの振る舞いについてなども教えていた。私が新鮮に感じて見てきたものごとは、そういう場の話題としては鉄板だった。

ある時、「私は昔から男女問わずアイドルの曲を聴くのが好きで、概ね楽曲派だった」というようなことを言ってみた事があった。それまでも仄めかしてはいたのだけれど誰もピンときていないのは感じていた。でもその日は「ジャニーズが好きなのに楽曲派というのは意外です」という直球の反応があったので、少しちゃんと説明してみようと思った。

ジャニーズの曲も結構面白いんですよ。まず基本的にある程度は売れることが見込めるからなのか、楽曲はしっかりしたものが集まるんです(ウーン、という顔をされる)まあ、そういう曲調が好きな人にとっては、ですが。あと、グループには歌のうまい子もそうでもない子もいろいろいますけど、基本的にファンサービスもあるのか全員が順番に歌う事が多いんですよ。そういうのってアイドル以外のジャンルにはあまりないじゃないですか。(たしかに、という反応)グループアイドルの曲ってそういう特有の面白さがあって。ただ、人数が多すぎると全員のユニゾンが増えて声を楽しむ面白さは減るんですが。

一番最初にNEWSのアルバムを聴いた時は、その声質のばらつきと、ハモリやユニゾンの声の組み合わせで聞こえてくる音の感じが全然違うのが面白くて興味を持ったんですよ。ファンサイトでパート割りを調べながら、素人ながら音声解析ソフトで波形を眺めてみてました。手越君(彼のことはみんなだいたい知っている)なんか倍音がよく見えて、(ここで倍音を知らない人に知っている人が説明してくれた)あ、手越君は歌える子なんですよ。声が高くて音程安定してて声量もあって、ハモリも正確で、NEWSの歌の要だと思ってます。(意外!という反応をうける)手越君と増田君ていう子が歌える子で、後の2人も声に特徴があっておもしろいんですよ。

その時説明できたのはこの程度だろうか。コヤシゲの声の魅力とか最近の楽曲の面白さとか、相手の知識を超えてあまりにも鼻息荒く語りすぎると説得力が無くなるのは経験上知っている。私の思うグループアイドルの曲の面白さは「個の声質もひとつの素材として仕上げられた音楽」であることを控えめにでも伝えたられたかなと思う。そういう聴き方もあるんだなと。もちろんアイドルを好きなポイントは人それぞれで、ダンスが揃っているのを見るのが好きな人にとっては、NEWSは全く向いていない。楽しみ方なんて人それぞれでいいと思うし、あくまで私個人の件。

以上、スカした感じで普段すごしていることがわかる話。楽曲派なんですよ〜なんて言いつつ、NEWSに関しては歌わない番組も手当たり次第録画してるし、雑誌もまあまあ買っていて8年分くらい溜まり続けている。本棚には、加藤さんの文章が載っている本がずらっと揃っている。コンサートの想い出のグッズやうちわも大切に保管してるし、ツイッターでしょっちゅう検索しては、常に彼らと彼らのファンの幸せを願っている。それは普通、楽曲派とは言わない。でも、楽曲派の次のステージに行けたのは貴重な経験だった。素直に、よかったなと思っている。

といっても、間違いなく今後も死ぬまでずっと楽曲派を名乗ってると思う。それが私。