イベントストーリー

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NEWSに恋して」というアプリがある。去年リリースされて何度か挑戦して意味がよくわからずできないまま1年経ち、こういうことができないのは老化と、やっと心の障壁を乗り越え今年の2月くらいからできるようになった。唯一続いていたゲーム「どうぶつの森」をやる感覚で生活パターンに組み込んだので、現在も順調に続いている。できるようになったよ、と上の子に報告したら、「誰もそんなこと期待してない」と言われた。そうか。

知らない方のために説明すると、ゲームの種類としては「アドベンチャーゲーム」。メンバーを選び、提供される恋愛シナリオを読むのが目的のシンプルなゲームだ。条件分岐もほとんどない。でも読み進めるためにはファッションチェックという名前で何処かの誰かと所持品の得点を競ったり、有料のアイテムを買ったりしないといけない。読み終わったり条件が揃えばアバターをオシャレさせ強くするアイテム、もしくは、NEWS のメンバーのボイスや写真がプレゼントされたりする。課金すれば我慢を強いられず好き放題だってのは他のゲームと同様。

このアプリでは「本編」というメンバーそれぞれの長編ストーリーと、「イベントストーリー」という期間限定の短編ストーリーが提供される。イベントストーリーはNEWSメンバーが先輩だったり同僚だったり、お見合い相手だったりルームシェアの相手だったり、一緒に遊園地の戦隊ヒーローやってたり、いろんなパターンでの恋愛が始まり成就する。今年から始めた範囲でも、よくこんなに恋愛話のパターンが尽きないなと感心する。

正直やっぱり若い人向けのアプリだから、恋愛ストーリーを楽しむというよりは、どうぶつの森と同じようなモチベーションでやっているのは否めない。つまり、必要なことをやってミッションをクリアしコンプリートする、という感覚だ。まあ、ストーリーを読んでも、なんでこの主人公女子が好きになってもらえるのか全然ピンとこなかったり、ツボが違うなと思うことも多いけれど、違和感も含め楽しんでいる。こんなわかりやすい妄想がオフィシャルに供給されているというのがそもそも面白いし、それぞれのパブリックイメージから外れず大多数のファンが喜ぶストーリーを、ネタ切れすることなく書いているライターさんは凄いなと思う。読んだ範囲では、主人公が論理的な話し方をするところに高評価を与えているという点で、お見合い編呉服屋加藤君が良かった。あと、知的マニアック変人な雰囲気の学芸員加藤君と、ただ待ってる元彼で花屋の増田君も良かった。本編は加藤君を数回やってコンプリートしたので、今は小山君をやっているが、小山君の話は全体に優しくていいね。

NEWSに恋して」のあるあるなのかもしれないが、手越君のストーリーは、主人公の女子が手越君と出会った時にその顔の綺麗さに驚きがちだ。私はそんなストーリーを読むたびに、あることを思い出す。

遡ること7年前。チャンカパーナの初回限定盤4枚組セットに封入されていた応募券で当選した人が参加できる「集まれ!!!!チャンカパーナ」というイベントがあった。私は運良く大阪のとある回に当選した。未就学児 1人同行可だったので、当時4歳の下の子を盾にするように連れて行った。私は6人時代を後追いでしか知らないバリバリの新規ファンだったこともあり、右も左もわからない中での恐る恐るの参加だった。とにかく、私ごときがはしゃいではいけないと思っていた。

今から考えると奇跡のイベントだ。4人で再出発をしたばかりの彼らは、イベントの最後に参加者全員と握手をした。私は4歳児を左手で抱き抱えて列に並び、空いている右手で握手をさせてもらった。増田君、加藤君、小山君、手越君の順だ。

今でもはっきり覚えている。増田君がイメージよりかなり大きくて驚いたこと。加藤君が子どもに慣れてないなと思ったこと。小山君の番になった時に4歳児を片手で抱えきれなくなりあたふたしてしまい、小山君とちゃんと目を合わせた握手ができなかったこと。そしてラスト、手越君が腰を低くして丁寧に握手してくれたこと。

その時、私は手越君の顔をまじまじと至近距離で見た。そして思ったのだった。

「世の中に、こんな顔をした人がいるんだなあ」

初めて近づいて肉眼で見た手越君の顔は、顔立ちの彫りの深さや整い方が間近で見るにはオーバースペックすぎて、脳が処理できない。

10メートルくらい離れて見るのにちょうどいい顔立ちっていうのがあるんだなあ。」

そんなことを思ったのは後にも先にも手越君だけなのだった。

NEWSに恋して」のイベントストーリーで、手越君と出会った女子が顔立ちの綺麗さに驚くくだりを見る度、「そうだよな、驚くのはよくわかる」と思うし、逆にそのくだりがないストーリーにはリアリティを感じない。君はなんでそんな簡単にあの顔立ちを日常生活で受け入れられるのだ?

ところで、せっかくなので集まれ!!!!チャンカパーナでの件をもう少し書いておく。

私はあの時、加藤君にファンであることをどうしても伝えたいと思った。男性アイドルに強い思い入れを持つ経験が人生で初めてだったので、こんな私でも何か一言くらい声をかけてもいいのでは、と思ったのだ。

他の3人は4歳児の頭を躊躇することなく撫でてくれたけど、加藤君は少し違った。私が抱き抱えていた4歳児は手にイベント参加券をずっと持っていたのだが、その4 歳児の両手を取り「持っててくれてるの〜」と言って、手遊びをするように手を23度上下させた。

その後、私は加藤君と握手する番となり、その時与えられた時間で唯一噛まずに言えそうだった言葉を発した。それは、

「加藤さん、さいこーっす」

だった。そう、それが7年前の私の精一杯ですよ。

加藤君はそれに対して若干の硬さの残る表情で「本当ですか。ありがとうございます」と言ってくれた。あとで検索したところ、一般に握手会定番と言われる台詞なんですってね。でも頂けただけで嬉しいです。

7年分の思い入れが増した今の私なら4人になんと言えるかな。結局、さいこーっす、しか言えないかな。