巻毛をひっぱれ!!/泉左京

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 初期の花とゆめをよく読んでいた人なら、この人は忘れられないはず。
 殆どの漫画を手放している私の手元に、この人の単行本2冊が残っている。花とゆめコミックス「巻毛をひっぱれ!!」と「氷砂糖をひとかけら」である。
 今見ると、すごく下手ですごく派手。しかし、私、この単行本を殆ど読み返したことなどないのに、一つ一つの話を結構覚えている。
 例えば、「バスト何センチ?」という漫画。男女交際に厳しい学園の異端児である派手な先生(男。フリルつきのブラウス着用)が、学園を変えるというストーリーなのだが、その先生、ある女子クラスの生徒の出席をとる時、名前の代わりにその生徒のバストのサイズで呼ぶ。主役の転校生は73センチ。しかし、その他の生徒たちは、93、95、130、98などと呼ばれている。子供にはバストサイズなどまったくリアルな数値でないので、その大きさからはショックは受けることはなく、ただ「重複するのでは?」と不安になったシーンだ。
 その他にもコメントをつけたいまんがが目白押しであるが、とりあえず、表題の「巻毛をひっぱれ!!」である。
 まず、覚えていたシーン。学園の男子h寮で綺麗な髪の「雪麻呂」君がブラッシングしている。「おい雪麻呂いつまでブラッシングしているんだ」という言葉に雪麻呂君、「だって寝る前に1000回ブラッシングしなきゃいけないのよ」と答える。そして「みんなおんやすみい♪」という。このシーンだ。
 私は子供である。もちろん、髪を美しく保つとかそういう次元で生きていない。だからこの「1000回ブラッシング」は強烈だった。しかも毎日だ。
 だが、1秒1回で考えれば、17分。2秒かけても30分ちょっとだから、そういうことをしている人は世の中にいるかもしれない。
 で、ストーリーはそんな雪麻呂君が朝目をさましてみると自慢の黒髪に巻毛が作られており、結局それは女子寮のヘアデザイナー志望の子がモデルにしようとしてやったことだった、で始まる。彼は無理やり連れ去られて巻毛を作られてしまうのだが、これがまた豪華でむちゃくちゃな縦ロール。期待通りだったので嬉しかったのだろう。よく覚えている。

 さて、せっかくなので泉左京作品リストをつけておく。これは「氷砂糖をひとかけら―泉左京傑作集2」に載っていたものだ。花とゆめが月刊から月二回刊になった頃、とにかく大活躍だったことがわかる。これだけ毎回見てたらこの絵が焼きつくはずだ。増刊号の名前も今となっては懐かしい…どういうセンスだったんだろう。オホホまでいったのか?それ以上続いたのか?記憶にない。

花とゆめ掲載(「○」はハート)
  • 昭和49年9月号:「あれま○ハンサム館(やかた)」
  • 昭和49年10月号:「ステキな蘭丸センセ」
  • 昭和49年11月号:「11月の海賊たち」
  • 昭和49年12月号:「愛してるよバララちゃん○」
  • 昭和50年1月号:「巻毛をひっぱれ!!」
  • 昭和50年1号:「すみれの花の砂糖漬」
  • 昭和50年4号:「ジョーカー輪舞曲(ワルツ)」
  • 昭和50年7号:「元禄振袖恋して候」
  • 昭和50年9号:「ロマンチックな奇人館」
  • 昭和50年12〜15号:「花柄ベッドの異邦人」
  • 昭和50年19号:「薔薇とワインと」
  • 増刊アハハ号:「氷砂糖をひとかけら」
  • 昭和50年23号:「おんち絶唱」
  • 昭和51年2号:「紫色のジャム館(やかた)」
  • 昭和51年4号:「バスト何センチ!?」
  • 昭和51年7号:「泣きボクロの京美人」
  • 増刊ムフフ号:「ハンサムな女の子!?」
  • 増刊エヘヘ号:「紫かげろう」

「美紀かおり」名義<少女コミック>
 「花嫁御登場」「華麗なるサギ師」「よるな!!チカンめ」「むらさき姫武勇伝」「恋人はヌードちゃん」「ハロー金髪先生」「ラブハートはいかが?」「ミス=シャックリちゃん」「ズンドーちゃんの季節」

Webで検索した情報
美紀かおり
1972年27号( 7月2日号)「ハロー金髪先生!」
1972年45号(11月5日号)「ネムとぬいぐるみ」
泉左京comics
「おぼろ忍法帳」 1977/03 HC79
「サキ館にてSOS」 秋田書店 PC
その他の作品「ふりむくと…」 LaLa 1977年3月号