祖父の思い出

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 昔、祖父の葬儀の挨拶で父親が祖父に関するエピソードを述べていた。祖父が亡くなったのは94年だからもう12年前になる。父親の話は、「オムツを換えるときも、換えやすいようにお尻を浮かしたり、最後まで気遣いを忘れない人だった」という内容だった。
 私はその時、何もそんなことを言わなくても、と思った。最期の方は寝たきりで確かに介護を受けていたけれど、それでも体が弱っているだけで、一生懸命教育テレビを見て勉強し続けようとしていたじゃないか。そんな生々しいエピソードよりも、最期まで向上心を忘れなかった、という内容を参列者に聞かせればいいのに、と。
 昨日父親のことを書いて、そのことを急に思い出した。今思うと、介護する当事者だった父母にとって、教育テレビを見ていた云々よりもなによりも、気遣いをされたことの方がどれだけ重要だったかがわかる。私にとっては、知的で大好きだった祖父のイメージの方が大切だったけれども。