えり子。

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 山崎えり子の本は何冊か目を通したことがある。最初のベストセラーを書店で目にしたころ、家庭科の教科書のような生活感のなさと聞きなれない名前に、著者は架空の人物だと思っていた。それから何冊か本を出していくうち、本人の写真を出すようになってきて、ああ、実在の人物か、と思った。比較的最近の「シンプル節約生活へようこそ」という大型本では、本人写真使いまくりになっていた。
 この人の本は「山崎えり子の○○」と言う感じで本人の名前をつけてあることが多く、私はその冠がついているとどうも積極的に読む気がしなかった。ベストセラーになった一冊目はともかく、その後はどうも無理やりな感があった。文章が糞まじめでお行儀の良い作文調で面白みが少ない分を穴埋めするかのように、本人の境遇などが語られていることが多かった。「婚約者の交通事故で、働くことも出来ずに節約生活をせざるを得なかった」という彼女の身の上は、誰の身にもふりかかるかもしれない身近な不幸である。ある種の危機感と自分の暮らしへの戒めを読者に与える効果があったに違いない。
 次彼女の文章を見るとき、文体も変わっていたら面白いんだけれど、多分、いつもの文体で切々と身の上話告白するのだろうなあ。